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長尾 美春; 細谷 俊明; 金子 義彦*
日本原子力学会和文論文誌, 1(2), p.153 - 163, 2002/06
原子炉の大きな正の反応度の決定には、燃料追加法,中性子吸収置換法等の方法が広く用いられている。しかし、これらの全ての測定方法は、超過倍率が15%kを越える領域に入ると20%程度の系統誤差を生じる可能性が指摘され、この問題を克服する「修正法」についての基本的考え方が提案された。この「修正法」は、現実の炉心において測定される実効増倍率の増分を計算により超臨界が許される仮想の炉心に対する値に転換するものである。本論文では、この「修正法」が大型の試験炉・研究炉に対して実際に適用可能であり、精度良く超過倍率を決定しうることを、JMTRC及びJMTRにおける燃料追加法実験データをモンテカルロコードMCNP4Aによる全炉心計算をもとに理論的に解析することによって明らかにした。
武田 卓士; 小向 文作; 松井 智明; 小森 芳廣; 藤木 和男; 大岡 紀一
デコミッショニング技報, (17), p.55 - 62, 1997/12
材料試験炉臨界実験装置(JMTRC)は材料試験炉(JMTR)の運転に必要な炉心特性データを実験的に求める目的で、JMTR本体に先立つ1965年に作られた臨界実験装置である。同年の初臨界以降、数多くの実験に活用されてきたが、所期の使用目的が達成されたこと、また老朽化による施設実験の観点からも、主要部分の解体撤去を実施するに至った。本解体は原子炉規制法に定められた「解体届」の3番目の適用例であり、臨界実験装置としては初めてのものである。本報告は、解体の計画、手続き、撤去工事についての概要をまとめたものである。
長尾 美春; 島川 聡司; 金子 義彦*
JAERI-Research 97-048, 59 Pages, 1997/07
燃料追加法、中性子吸収置換法等の方法が原子炉の大きな正の反応度の決定に広く用いられている。しかし、これらの全ての測定方法は、過剰反応度が15%Kを越える領域に入ると20%程度の誤差を免れないという指摘があり、この問題を克服するための「修正法」についての基本的考え方が提案された。この「修正法」は、現実の炉心における実効倍率の増分を仮想の炉心の実効倍率に計算により転換するものである。本論文では、この「修正法」が大型の試験炉・研究炉に対して実際に適用可能であることを、JMTRCにおける超過倍率測定実験データを理論的に解析することによって明らかにした。解析には、モンテカルロコードMCNP4Aによる全炉心計算が全面的に用いられた。また、「修正法」とこれまで使用されてきた在来の評価法との関係も解明した。
長尾 美春; 島川 聡司; 小森 芳廣; 大岡 紀一
JAERI-Conf 96-008, 0, p.135 - 139, 1996/03
JMTRのような板状燃料を用いた原子炉について、MCNP(モンテカルロコード)-JENDL3による計算の適用性を検討する目的で、JMTRの臨界実験装置であるJMTRCの炉心について、燃料要素の板状燃料に至るまで詳細にモデル化した計算体系により、実効増倍係数についてベンチマーク計算を行った。ベンチマーク計算は臨界状態、過剰反応度及び停止余裕について行い、臨界状態、過剰反応度については各々0.5%、0.9%で一致し、停止余裕については3.4%過小評価となったが、この値は測定値自体にも誤差を含んでおり深い未臨界度の推定としてはよく合っているものと判断している。感度解析としては、制御棒の位置の違いや燃料装荷量の比較を行い、各々良好な結果を得た。核データの比較に関しては、JMTRC炉心体系ではJENDL3.2は3.1に比べ約0.8%大きな値(Keffに関して)になった。
長尾 美春; 島川 聡司; 小森 芳廣
Transactions of the American Nuclear Society, 73, p.402 - 403, 1995/00
中性子照射試験では、試料位置における中性子エネルギースペクトル予測精度の向上が要求されている。特に熱領域の中性子は、照射キャプセル構造材等の影響により複雑な分布をするため、正確なモデル記述が必要となるが、従来の拡散計算や輸送計算では、モデルの記述上の制限から精度向上が困難である。そのため、複雑な体系を自由に表現することのできる3次元モンテカルロコードMCNPのJMTR炉心計算への適用を検討している。MCNPは、遮蔽計算や比較的単純な炉心体系については、その適用性は確認されているが、JMTRのような板状燃料を使用した複雑な炉心体系には、本格的に適用されるには至っていない。そこで、適用性検討の第1段階として、JMTRの臨界実験装置であるJMTRCの炉心の臨界計算を行い、実効増倍率の計算精度について検討した。
桜井 淳
放射線と産業, (15), p.27 - 32, 1980/00
JMTRで行っているしきい検出器法による中性子スペクトルの測定において、主にガンマ・ドジメトリーを中心に、最近の実験を解説した。JMTRの中性子スペクトルの測定はJMTRCを用いて行われているが、JMTRCの中性子束レベルが低いために(n,)反応や(n,p)反応はこれまで利用されなかった。JMTRCを用いて(n,)反応や(n,p)反応で生成される放射能は0.001~0.0001Ci程度である。このような微量放射能を精度良く評価するために大型のGe(Li)検出器を使用した。そのためJMTRCのK-10照射孔において、Al(n,)Na,Mg(n,p)Na,Ni(n,p)Co,Fe(n,p)Mn,Ti(n,p)ScおよびTi(n,p)Sc反応のようなしきい反応を中性子スペクトルの測定に導入することができた。この解説論文においては、JMTRにおけるガンマ線測定装置,ガンマ線スペクトル解析システムおよびJMTRCで生成した(n,)反応や(n,p)反応による放射能からのガンマ線測定についてふれた。
桜井 淳; 近藤 育朗
Nuclear Instruments and Methods, 171(3), p.623 - 626, 1980/00
JMTRの中性子スペクトルの測定はJMTRCを用いて、しきい検出器法で行われている。測定はK-10(燃料領域),J-11(ベリリウム反射体1層目),I-12(ベリリウム反射体2層目)で行われているが、これらの位置の積分高速中性子束(1MeV)はそれぞれ410,210,410n/cm・secである。このような低レベルの高速中性子照射場でAl(n,)Na,Mg(n,p)Na,Ni(n,p)Co,Fe(n,p)Mn,Ti(n,p)ScおよびTi(n,p)Sc反応等のしきい反応を導入して高速中性子スペクトルを測定した。K-10位置で生成される放射能は10~10Cであったが、大型Ge(Li)検出器を用いて微量放射能を精度良く測定した。同時にCu(n,)Co,Ni(n,n)Co,Ni(n,2n)NiおよびCu(n,2n)Cu反応を検討したが、放射能が弱く使用できなかった。この論文は臨界実験装置の低レベル高速中性子束に対する(n,)および(n,p)反応の使用に関する技術的問題をまとめたものである。
瑞穂 満; 野村 靖; 清水 正亜; 瀬崎 勝二; 小山田 六郎
JAERI-M 7705, 77 Pages, 1978/06
本報告は「線出力キャブセル計画」の第1弾72F-12Jの実験報告である。燃料試料の照射実験においてその線出力(W/cm)は重要な因子であるが、その評価法は必らずしも確立されていない。「線出力キャプセル計画」はいくつかの評価法を総合的に検討して評価法を確立する事を目的に、部内ワーキングブループによって推進されている。72F-12Jキャブセルでは、低濃縮UO長尺ピン、NaK熱媒体方式のキャブセルについて、(1)Qcal(核計算法)=388W/cm、(2)Qcal(モックアップ実験法)=394W/cm、(3)Q(熱電対温度法)=388W/cmと良い一致を見た。
材料試験炉部計画課
JAERI-M 5410, 87 Pages, 1973/10
JMTRでは燃料試料の発熱量を2つの方法で予測している。1つは核計算によるものQcalで、他の1つはJMTRCにおける実験(CF先行試験)によるものQである。現在原子炉の運転に当って発熱量の推定精度向上が強く望まれており、このため2つの推定値について現状の分析・精度向上の方策検討を行なった。先ず前半で#14サイクル当時のQ推定技術の概要についてまとめ(Qcal推定技術については別にまとめたものがある)、後半でデータの分析を行なった。今回は実際に照射を開始した#3サイクルから#14サイクル迄のデータについてQに主眼をおいてQcalとの比較と言う形で実施した。なお比較に当ってはQについては#14サイクル時点の技術で再評価し、Qcalについては1核分裂当りの発熱量なとの数値を統一したものを使用した。